鉄はSUS系の配管や高温熱処理時の拡散・酸化炉の壁面から混入しやすく、シリコンのバンドギャップの深いレベルに不純物準位を形成するため、半導体デバイスの動作に重大な影響を与えます。
ボロン(B)をドープしたp型ウェーハに鉄(Fe)が混入すると、鉄は正イオンになるため負にイオン化した格子位置のボロンと結合し、Fe-Bペアを形成します。ウェーハに強力な光を照射すると、発生したプラズマによりFe-Bペアは容易に壊され、下図の様に格子間の鉄(Fei)と置換ボロン(Bs)に解離します。Fe-BペアとFeiでは、バンドギャップ中のエネルギー準位や、電子・正孔の捕獲断面積が違うため、ライフタイムが異なります。従って、光照射前後のライフタイムを測定し、それらを比較することによって鉄濃度を定量測定することができます。
ウェーハの加熱によっても上記の解離は可能ですが、当社では装置化が容易な光照射方式を採用しました。

光照射によるFe-B解離のモデル
鉄濃度マップの例
|