PROJECT STORY 01

高精度平坦度測定装置
「TAIRA-S」
開発プロジェクト

2013年に開発・上市した、ヘテロダイン干渉計というセンサを搭載した半導体製造に欠かせないシリコンウェーハの厚みを計る『平坦度検査装置』に、シリコンウェーハの表面のうねり=ナノトポグラフィを測る『ナノトポグラフィ測定装置』を組み合わせた新しい装置の開発に2016年から着手。二つの異なる装置の連動や相乗効果を最大限発揮するための開発を続け、初号機の開発完了後も常に改善・改良を継続。現在は、高精度平坦度測定装置「TAIRA-S」として、半導体製造分野への導入数を着実に増やしている。

PROFILE
  • H.Nさんのプロフィール写真
    H.N
    〈技術スタッフ〉
    LEO事業本部 技術部 開発室
    2014年に入社後、間も無く、シリコンウェーハの表面のうねり=ナノトポグラフィを測定する装置のデモ機開発に新人として携わる。その経験から、高精度平坦度測定装置開発プロジェクトでは、ナノトポグラフィ測定ユニットの開発を託される。
  • S.Tさんのプロフィール写真
    S.T
    〈技術スタッフ〉
    LEO事業本部 技術部 開発室
    2014年に入社後、事業開発室、ターゲット事業本部で技術者として経験を積む。2019年からLEO事務本部に異動し、高精度平坦度測定装置開発プロジェクトに新たな戦力として参加。ナノトポグラフィ測定ユニットの新機能開発を手がけた。

SECTION 01 シリコンウェーハの
厚みを測る装置、
形状を測る装置、
2つの装置開発が進行。

2013年にコベルコ科研においては、ヘテロダイン干渉計を使った『平坦度検査装置』を開発し、シリコンウェーハメーカー各社に納入を開始。ウェーハの厚さをサブナノの精度で測定できる高精度な装置として高く評価され、出荷台数を順調に伸ばしていった。そんな折、顧客から「ナノトポグラフィというウェーハの片面形状を高精度に測定できる装置ができないか?」とのニーズが寄せられ、新たな『高精度平坦度測定装置』の開発に向けたプロジェクトが立ち上がる。このプロジェクトには、2014年に入社し、新人としてナノトポグラフィ測定における基本構造や技術研究、デモ機の開発に携わっていたH.Nがメンバーに抜擢された。とはいえ、当時はまだプロジェクトチームという正式な形ではなく、ヘテロダイン干渉計を使った『平坦度検査装置』の開発を担うチーム、H.Nが主担当として関わるナノトポグラフィ測定技術開発チームが並行して開発に取り組むという状況だったのだ。
H.Nにとっては、「まだ設計開発経験が浅い中で、しかも未知の装置を生み出すのはかなりの難題だ」との不安も大きかった。しかし「これほどのチャンスはなかなかない」との前向きな思いを持って開発に挑んだ結果、デモ機が完成。事前に想定されていた『平坦度検査装置』と『ナノトポグラフィ測定装置』を一つにした複合機の開発へとフェーズは移行していった。

SECTION 02 異なる機能の
測定ユニットを一つにし、
新たな装置を生み出す
プロジェクトが始動。

ヘテロダイン干渉計を使った測定ユニットとナノトポグラフィ測定ユニットの二つを一つにするという初の試みにおいて、一番の難関は、それぞれの装置が完璧に機能したとしても、合体させた時にどのようなことが起きるか想像できないことだった。
そうした中でH.Nは、「プロジェクトメンバー全員で全体像をイメージし、互いに情報を共有しながら、トラブルが起きた時の対処法を事前に考えておかねばならない」との考えを持って、双方のチームと綿密にコミュニケーションを取ることを徹底し、開発を進めていった。苦労の甲斐あって複合機のデモ機が完成し、顧客の評価を得た後、初号機の納入に漕ぎ着ける。
しかし、本当の困難はそこから始まる。というのも実際の現場で不具合が起き、さらに現場で使われる中で、機能の追加や使いやすさ向上など、新たなニーズが顧客から求められたからだ。特にH.Nたちの頭を悩ませたのは、出荷前のテストまで全く起きなかった不具合。詳しく調査してみると原因は、装置を使用する顧客の現場の環境にあり、装置の測定精度に大きく影響していることが分かった。そこからしばらく顧客の振動などの環境データを集め、装置の測定精度にどのような影響を与えているかを検証し、改良する日々が続いた。

SECTION 03 新メンバーの加入により、
開発が加速。
顧客が求める新機能を備えた
装置が誕生。

初号機の納入後も改良・改善を重ねる中で、平坦度検査ユニット開発チームでは、常に100%の精度で厚みを測定できるように力を注ぎ、ナノトポグラフィ測定ユニット開発担当のH.Nも測定精度の向上に加え、次の量産化に向けた準備にも取り組んだ。
初号機納入後の細やかでスピーディな顧客への対応もあって、徐々に出荷数が増加。そうして3号機の開発に取り掛かっている頃から、ナノトポグラフィ測定ユニット開発を担う新たなメンバーとしてS.Tが参加する。H.Nは、2014年入社の同期であるS.Tの参加に心強さを感じ、一方のS.Tも、「同期と共に仕事ができるのは面白い。同時にコベルコ科研が今力を入れている新しい装置の開発に関わることができるのは、大変だがここでしかできない経験ができ、やりがいも大きいだろう」との思いを持って開発業務に身を投じていくのだった。
その中でS.Tは、ナノトポグラフィ測定ユニットの測定精度の改善と新機能の開発を担当。特に新機能の追加は、顧客からのニーズが多く、クリアすべき課題も多かった。そうした中でS.Tは、ソフトウェアによる新機能の追加を実現するため、プログラマと二人三脚で開発に取り組んだ。このS.Tの活躍によって、ハードウェアを改良することなく、ソフトウェアで顧客の要望を満たす機能の追加を実現したことは、プロジェクトメンバーの大きな助けとなった。

SECTION 04 顧客のニーズに合わせて
開発と改良を同時に進め、
より洗練された装置に進化。

S.Tのプロジェクト参加を経て、開発力が強化され、顧客のニーズへの対応力が増したことから、高精度平坦度測定装置の開発はさらに進展。7号機からはS.Tが手がけた新機能が搭載されるようになり、現在の出荷数は十数機を超える。そして、高精度平坦度測定装置「TAIRA-S」と名付けられ、顧客の高品質な半導体製造において、性能の改善や品質の向上に寄与している。
新規装置の開発を通して、H.N、S.Tをはじめとしたプロジェクトメンバーが今感じているのは、「自分達が作り上げた装置により、顧客の半導体デバイスの品質が向上し、さらにそのことが電子機器の進化や今後も発展が期待されるAIやDX分野にも貢献していくに違いない」という達成感だ。
また、実現が難しい高精度な測定技術を生み出す中で幾度となく繰り返されたトライ&エラーを通して、技術者として大切な「困難なことでも諦めず、粘り強く立ち向かうことの大切さ」と「仲間とコミュニケーションを取り、力を一つにすることの大切さ」を改めて知ることができたと実感している。
このことは、また新たな装置の開発や新技術の開発において、大きな力になることは間違いないだろう。

EPILOGUE