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低歪速度引張応力腐食割れ試験(SSRT)による応力腐食割れ感受性評価
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- 目的
- ステンレス鋼など応力腐食割れを起こす可能性のある金属材料の応力腐食割れ感受性評価方法としては、定歪法、定荷重法などがある。比較的短時間で評価できる低歪速度法(SSRT)は応力腐食割れ感受性を鋭敏に検出できることが知られており、多数の実施例があるが、ここでは低温水素ガス雰囲気中におけるステンレス鋼の脆化特性評価例について述べる。 -110℃の低温で水素ガスを取り扱うSUS304製化学装置の溶接熱影響部で割れ事故が発生し、その原因の究明と対策の提案を求められた。
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- 方法
- ・実機割れ部からの採取試料の破面観察、ミクロ組織観察、水素分析などの各種分析・解析
・水素ガス雰囲気下でのSSRT試験(切り欠き付き試験片)
・水素吸蔵試験片の低温SSRT試験(平滑試験片)
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- 試験装置・ソフト
- 低歪速度引張応力腐食割れ試験装置(SSRT)
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- 結果
- ・割れ原因:SUS304溶接熱影響部の結晶粒界でマルテンサイト相(低温誘起)が生成し、水素脆化割れを生じた。
(熱鋭敏化処理や冷間加工は水素脆化感受性を増大させる:図1)
(鋼中の水素吸蔵量の増加と共に材料の低温延性は低下する:図2)
・対策の検討:各種オーステナイト系ステンレス鋼について水素ガス環境下での脆化指数を評価した結果、 オーステナイト相の安定度が高い鋼種ほど割れ感受性の低いことが明らかとなった(図3)。
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- お客様の成果
- 特殊な使用条件下での割れの原因が明らかになると共に、代替材料としてオーステナイト相の安定なSUS316Lを適用することにより課題は解決し再発防止に寄与した。
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