マテリアルズ・インフォマティクス(MI)のサービスと事例
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- マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とは?
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近年の人工知能(AI)の発展により、様々な材料やプロセスの設計情報(分子構造、組成、プロセス条件、等)と材料特性(結晶構造、材料物性、等)の関係のデータを蓄積し、AIにより学習する事で、実際に材料を試作する前に材料の特性を予測する、或いは、望まれる材料特性を得るための材料やプロセス設計を最適化する、等の取り組みが活発になっています。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とは、このような、AIを活用した、材料特性の予測や材料・プロセス設計の最適化を行う技術を指す用語です。
- 狭義のMIと広義のMI
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マテリアルズ・インフォマティクス(MI)は、新規材料開発等において、望まれる材料特性を得るための材料設計を最適化する技術として用いられる事が多いです。これを、「狭義のMI」とします。
「狭義のMI」 ...新規材料開発等において、望まれる材料特性を得るための材料設計を最適化する技術。
実際には、AI活用の可能性は大きく、新規材料開発だけではなく、実使用環境での材料劣化や破損、寿命予測、および、材料のリユース・リサイクル性の予測、等の材料のライフサイクル全体での特性予測や設計最適化に活用する事が期待されています。このような技術を「広義のMI」と呼びます。
「広義のMI」...実使用環境での材料劣化や破損、寿命予測、および、材料のリユース・リサイクル性の予測、等の材料のライフサイクル全体での特性予測や設計最適化にAIを活用する技術。
当社、コベルコ科研は、材料試験・分析における知見とAI開発の技術に加え、計算機シミュレーション技術を活用する事で、「広義のMI」に関わる解析サービスや自動化の支援において、豊富な実績を持っています。
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- コベルコ科研のMIへの取り組みと
デジタルトランスフォーメーション(DX)構築サービス -
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コベルコ科研は、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)、および、計算機シミュレーション技術を活用し、革新的・製造設計プロセスの開発、材料選択・材料設計評価の自動化を推進されるお客様に、デジタルトランスフォーメーション(DX)、および、モデルベース開発(MBD)のサービスを提供する事で、グリーンイノベーション社会の創生に貢献します。
- マテリアルズ・インフォマティクス(MI)
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○AIなど情報処理技術、統計解析技術を駆使して材料開発/特性予測効率を高める取組
○AI・統計解析を行うための高効率なデータ収集と解析も重要
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マテリアルズ・インフォマティクスの(MI)流れ概要
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十分数のデータを収集し、それに基づくAI・統計解析で材料特性を予測するモデルを構築し、最適な材料製作条件を探索し、探索結果を次のデータ収集で確認する事を繰り返すことがMIのおおよその流れになります。
データ収集にあたっては、高効率な実験を行い複数条件を同時評価できる試験片製作や、AIを駆使した高効率な解析を活用します。または材料シミュレーションを駆使した計算値もデータとして収集して活用します。
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高効率な実験/AI解析に必要なデータを効率的に取得し実験時間を短縮
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高効率な実験の例として、薄膜材料・バルク材を対象としたコンビナトリアル合成を紹介します。コンビナトリアル合成は、1つで複数条件の材料を含む試験片を合成する技術です。薄膜材およびバルク材に対応します。コベルコ科研が保有する各種試験分析手法を適用する事で、1つの試験片から多くの試験分析結果を取得できます。
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高効率な解析/AIを駆使した解析の高効率化による解析時間短縮
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MIには高効率な解析も必要です。試験分析結果は大量に取得できても、解析を行わないとAI・統計分析に使えない場合があります。高効率な解析の事例として、XRD分析結果から、ニューラルネットワークを用いた多クラス分類を用いて、腐食生成物を判定する解析時間の短縮事例を示します。この例では最終的に腐食生成物の判定結果が求められます。従来はXRDの測定結果を目視判定していましたが、弊社ではAIを駆使する事により、判定作業を高効率化し、色分けを自動化する事に成功しています。
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各種特徴計算のためのデータベース構築のご支援
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各種特徴量計算やAI構築のための試験結果/解析結果のデータベース構築を支援します。
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材料シミュレーション / 材料試験片なしでの材料評価条件絞込のご支援
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コスト要因等により十分数の材料試験片がない場合でも、第一原理計算法やフェーズフィールド法による物理シミュレーションによる材料データの収集/補完が可能であり、材料評価条件の絞り込みを支援します。
材料シミュレーションは問題により膨大な計算量を要求しますが、弊社はスーパーコンピュータ富岳(京)の産業利用経験の知見を活かし、大型計算機を活用した計算データの提供が可能です。
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特性予測探索/複数の客観データに基づく仮説検証と新しい条件の探索
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蓄積した複数の客観データに対してAI・統計解析を適用し、材料特性の予測モデル構築と検証、所望特性の材料を得るための製造条件の探索を行う事ができます。こちらの例はコンクリートの事例です。探索にあたっては、特性だけでなく、コストの様に同時に考慮しないといけない、相反する複数の目的変数を、同時に満たす条件探索も可能で、従来と異なる観点の条件が見つかる可能性もございます。
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- コベルコ科研のMIへの取り組みと
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- サイバーフィジカルループとDX構築サービス
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豊富な材料・現象の知識をもとに、試験・分析と計算科学を用いた、サイバーフィジカルループにより、現象予測モデルの構築を通じ、顧客のモノづくりのDX推進を支援します。
- コベルコ科研のサービス一覧
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- ハイスループット材料試験/コンビナトリアル合成
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多元系合金の薄膜およびバルク材の傾斜組成材の試作と分析データ収集に対応します。
- マテリアルズ・インフォマティクス(MI)構築支援サービス/データ販売
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MIにおけるデータ収集・データ整理、および、AIアルゴリズムの構築を支援します。
データ収集では、第一原理計算などの量子シミュレーションを活用したデータベース構築も可能です。
大型計算機の利用やハイスループットの第一原理計算によりデータ収集の効率化に取り組んでおり、触媒材料設計最適化・実検証、等の豊富な実績がございます。
- 各種CAEデータベース構築/サロゲーションモデル販売
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分析試験データに加え、計算機シミュレーションにより生成したデータベースを活用し、材料開発やプロセス設計の最適化に対応しています。
例えば、多孔質構造材料のデータベースを活用した、リチウムイオン二次電池の電極構造の最適化モデル、多孔質構造材料の流動特性等を瞬時に予測可能な深層学習モデル(サロゲーションモデル)の構築支援および販売を行っています。
- 海外製xEV・部品 モデルベース開発(MBD)モデル販売/モデル構築支援
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自動車および自動車部品の設計をモデルベース開発(MBD)で実施する為のベースとなる海外製xEVや部品の3D CADデータ、および、シミュレーションモデルを販売しています。
利用用途に応じたカスタマイズ開発にも対応します。
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- ハイスループット材料試験/コンビナトリアル合成
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マテリアルズインフォマティクス(MI)向けの材料データ収集では、組合せ論を用いて一連の生成物を効率的に多品種合成するコンビナトリアル合成が多く行われています。当社では、無機物を対象とした傾斜組成の薄膜や機能性材料(バルク材)の合成および分析データサービスに対応します。
これら材料データを活用し、MI解析サービス/MI構築サービスを展開しています。
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- マテリアルズインフォマティクス構築支援サービス/データ販売
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新規材料開発において、特性データベースを利用したデータ駆動型アプローチ(マテリアルズインフォマティクス(MI))の重要性が高まっています。当社では試験研究会社の特徴を活かし、様々な分析試験や数値計算技術を用いて、お客様のニーズに特化したデータベース構築や機械学習モデリングを支援します。
MIでのデータ生成として、分子動力学やバンド計算、分子軌道計算等のナノオーダー領域に特化した量子シミュレーション技術を用いる事で、触媒活性、合金特性、腐食性、リチウムイオン二次電池材料の物性等を評価可能です。
ここでは、量子シミュレーションによる、ハイスループット計算を用いたMI構築事例を紹介します。
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- 各種CAEデータベース構築/サロゲーションモデル販売
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分析試験データに加え、CAEにより生成したデータベースを活用した材料開発やプロセス最適化技術が注目されています。
当社では、さまざまな構造や条件における流れ場、反応場、応力場などのCAEデータベースを販売してます。
また、多孔質内流れ場のCAEデータベースから、瞬時に流れ場を予測可能な深層学習モデル(サロゲーションモデル)の構築支援および販売を行っています。
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- 海外製 xEV・部品 MBDモデル販売/構築支援
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海外製xEVシステムおよび主要部品のモデルベース開発(MBD)モデル(1D/3Dモデル)を販売します。
基本モデルを元にした、設計性能評価等の受託解析、MBDモデルのカスタマイズ開発にも対応します。