コベルコ科研のウェハレベル評価メニュー
【μ-PCDによるライフタイム測定】
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半導体デバイスは、スマートフォン、パソコンから自動車、家電製品、産業用機械などあらゆる機器に内蔵され、今日の社会に必要不可欠な重要な部品であることから、その需要は年を追って伸び続けています。
この半導体素子は、Si、SiCなどに代表される単結晶基板上に極微細加工によりデバイスを形成し製造されます。このスタートとなる基板の品質は、半導体デバイス自体の品質、歩留まりに大きく影響することから、その非破壊での検査・計測がますます重要になっています。コベルコ科研は、半導体基板(ウェハ)の検査装置で長年の実績を誇っており、それらを利用した高度な分析・解析で半導体デバイスに関わる産業・社会の様々な問題解決に貢献しています。
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μ-PCD(Microwave PhotoConductivity Decay:マイクロ波光導電減衰法)によるライフタイム測定
パルスレーザーによって励起されたキャリア密度を、マイクロ波の反射でモニタリングし、その時間変化を評価する手法です。励起されたキャリアは主に、結晶欠陥や不純物中心で再結合しやすいため、励起キャリアの減少時間(ライフタイム)を測定することにより、ウェハの品質(欠陥、重金属汚染など)の面内分布を評価する手法です。
コベルコ科研製ライフタイム測定装置では、基板の材種などにより最適な励起レーザー周波、検出方法でキャリアライフタイムの面内分布の評価が可能です。- ライフタイムに影響を及ぼす再結合過程・準位
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- ・直接再結合
- ・ショックレーリードホール再結合(深い準位)
- ・表面/界面再結合
- ・トラップ準位の影響 他
評価装置仕様 励起レーザー マイクロ波波長 904nm(赤外)
349nm(紫外)
266nm(紫外)
他に523nm等10GHz
26GHz(差動)汚染や欠陥(表面・バルク)によりライフタイムが変化するため、半導体
(基板・薄膜)の品質評価が可能事例1:様々なバルクウェハ(Si)のライフタイムマップ
Siウェハのライフタイム測定の事例です。ここでは、ウェハ固定治具に依る金属汚染や応力により発生した転移によるライフタイムの分布の例を示しています。
ここでは分かり易いように治具による汚染例を示していますが、実際には種々の工程において要因を特定し難い汚染も発生する可能性があります。そのような場合でも、ウェハ面内の分布を把握することで、原因の特定に繋がるケースもあり、非破壊、且つ高速で測定可能な本手法の大きな長所になっています。事例2:IGZO系酸化物半導体の移動度とμ-PCDピーク値との相関
最近、注目が大きいアモルファス酸化物半導体薄膜にライフタイム測定を適用した事例です。IGZOなどで代表される酸化物半導体材料は、その構成元素の組成比でキャリア密度(移動度)が大きく変化します。ここではキャリアの減衰時間ではなく、マイクロ波の反射率がキャリア密度に対応することを利用し、移動度の簡易評価を実施しています。事例は、一枚のウェハの上に、意図的にIn、Ga、Zn比を傾斜させた薄膜を形成し、測定した事例ですが、別途、TEGパターンを作製してトランジスタ特性から評価した移動度と非常によく対応していることが分かります。
本方法では、製品における面内バラツキ、新規薄膜開発など種々の目的に利用することが出来ます。μ-PCDピーク値による成膜時の膜質(移動度分布)評価が可能
事例3:SiCのライフタイムマップとX線トポグラフ比較例
パワー半導体用ウェハとして実用化が進んでいるSiCウェハの欠陥評価の事例です。
ここでは、X線トポグラフにより検出した結晶欠陥とライフタイムが比較的よく一致していることが分かります。
このようにライフタイム測定は、Si以外のSiC、GaN、Ga2O3など新規パワー半導体用ウェハへの利用の期待も高まっています。
(注)GaN、Ga2O3については、まだトライアル要素が大きく、個別にご相談させて頂きます。
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