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最新評価技術のご提案
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マテリアルズ・インフォマティクス(MI)× 材料試作による
リサイクル向けアルミ合金の開発支援
概要
従来、多くの試作と評価を繰り返していた材料開発を、「少量の多品種試作」と「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)によるデータ解析」を組み合わせる手法へと転換しました。これにより、リサイクル材のように組成が複雑に変動する材料でも、求める特性(強度、耐食性など)を得るための最適な組成やプロセス条件を効率的に探索することが可能になります。本記事では、この手法をアルミ合金のリサイクル材開発に適用した事例を紹介します
背景と従来技術の課題
様々な産業分野でカーボンニュートラルへの対応が求められており、その⼀環として製品への素材のリサイクル率向上が強く要求されていますが、リサイクル率向上は組成変動による特性への影響が問題となります。この成分の組み合わせが多種多様(膨⼤)になるため、基礎検討の段階から最適な条件を⾒つけ出すのに⾮常に時間がかかっていました。
マテリアルズ・インフォマティクス(MI) × 材料試作の詳細
本技術では、まず実機リサイクルを模擬した少量多品種の試作を⾏い、材料特性データを取得します(順問題解析)。次に、得られたデータからマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を⽤いて特性予測モデルを構築し、このモデルを活⽤した逆問題解析により、⽬的の特性を得るための最適な組成やプロセス条件を効率的に導き出します。これにより試作回数を⼤幅に削減し、開発期間の短縮を実現します。
1材料試作とデータ取得
(1)⽬的変数となるデータ取得のため、⼩規模(数100g〜約kg)で多品種の試作を⾏い、特性評価までをワンストップで対応致します。
(2)鋳造材から、板材、押出材、伸線材など実機を模擬した製造プロセスを経た少量試作が可能です(図2)。
(2)鋳造材から、板材、押出材、伸線材など実機を模擬した製造プロセスを経た少量試作が可能です(図2)。
(3)リサイクルを模擬した成分やスクラップ添加した素材試作が可能です(図3)。
2材料特性予測モデル構築と材料設計
(1)予測モデル構築
試作データをもとに、材料組成(Mg、Si、Feなど)や加工条件(圧延温度・冷却速度)と特性値との関係をモデル化します。
(2)機械学習手法の活用
線形・非線形回帰、ランダムフォレスト(RF)、ガウス過程(GP)、勾配ブースティング(GB)、ニューラルネットワーク(NN)など、複数の機械学習手法を比較・評価し、最適なモデルを選定します。
(3)逆解析による条件最適化
ベイズ最適化や進化法などの手法を用いて、性能が高く、かつ情報量の多い材料組成や加工条件を探索。これにより、試作回数を抑えつつ、効率的かつ高精度な材料設計を実現します。
(4)反復的なモデル改善
試作・評価結果をフィードバックとしてモデルに反映し、精度を継続的に向上させます。この反復的な改善プロセスにより、最適な材料設計への到達を加速します。
3リサイクル向けアルミ合金の適用事例紹介
本事例では、材料試作とデータ取得を組み合わせることで、アルミスクラップの添加を模擬した少量試作を実施しました。6000系アルミ材とADC12スクラップの組み合わせを想定し、Si成分の範囲を制約したうえで、ランダム探索と進化的アルゴリズムを併用することで、引張強度と伸びの両特性を同時に最適化しました。
①制約条件
Si成分に制約を設け、探索範囲を限定しました。
②多目的最適化
引張強度・伸びを同時に最適化し、材料の特性をバランス良い組成、熱処理条件を探索しました。
③予測誤差の評価
構築した機械学習モデルの予測精度を検証。実測値との比較により、高い再現性を確認しました。
(予測結果:引張強度 329MPa、伸び 21%/検証結果:引張強度 306MPa、伸び 19%)
これにより効率的に最適条件を導き出すことが可能であり、リサイクル材開発における有効性が示唆されています。
(予測結果:引張強度 329MPa、伸び 21%/検証結果:引張強度 306MPa、伸び 19%)
これにより効率的に最適条件を導き出すことが可能であり、リサイクル材開発における有効性が示唆されています。
まとめ
・少量試作 × マテリアルズ・インフォマティクス(MI)で効率的な材料開発手法を紹介した。
・アルミリサイクル材の開発を想定した逆解析による予測と実測定を行い、その整合性の検証例を紹介した。
・アルミリサイクル材の開発を想定した逆解析による予測と実測定を行い、その整合性の検証例を紹介した。
アピールポイント
・材料、試験、計算の専門家対応によるワンストップ対応(試作~評価~MI)が可能となり、お客様の負担低減に繋がる。
・MIの適用により、多特性を同時最適化、試作回数削減・開発期間短縮が期待される。
・MIの適用により、多特性を同時最適化、試作回数削減・開発期間短縮が期待される。
今後の活用可能性や技術の発展性
EV用軽量材やリサイクル材への適用(Fe、Al、Cu 等)により、CO₂削減・循環型社会への貢献に期待。
参考文献
- 文部科学省. マテリアルDXプラットフォーム構想実現のための取組.https://www.mext.go.jp/content/20201223-mxt_kibanken01-000011734-10.pdf
- 株式会社コベルコ科研:マテリアルズ・インフォマティクスの活用事例、技術ノート「こべるにくす」No.55(2022年11月)
- 神戸製鋼所:マテリアルDXに向けたマテリアルズ・インフォマティクスの紹介、KOBELCO TECHNOLOGY REVIEW Vol.73, No.1(2024年8月), pp.96-101
- K. Kano, K. Koga, Comput. Mater. Sci. 244, 113211 (2024).https://doi.org/10.1016/j.commatsci.2024.113211
特許
公開特許:特開2024-29702
よくある質問
- 従来の材料開発との違いは?
- 従来は多くの試作と長い開発期間が必要でしたが、本技術では小規模試作データとMIにより条件探索できるため、従来よりも効率的に材料開発のスクリーニングや最適化を行うことが可能です。
- アルミ以外の材料にも適用できますか?
- はい、リサイクルを問わず、鉄鋼材、耐熱材、軽量材、銅合金、機能材料などにも展開可能です。
- 機械学習に必要なデータはどの程度の数量が必要ですか?
- 必要なデータ量は課題やモデルの種類によって異なります。一般的には数十件程度から検討が可能ですが、精度を高めるには数百件以上が望ましい場合もあります。また、社内に蓄積されたデータに加え、文献や公開データを組み合わせて活用することも可能です。
16-1-202601-002
