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負荷変動を伴うクリープ試験メニューの確立

概要

再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、火力発電プラントでは起動・停止を繰り返す運転パターンが増加しています。これに対応するため、実機の運転パターンを模擬した環境下でのクリープ強度特性評価が可能となりました。これにより、従来よりも実態に即した材料の損傷評価や寿命予測が可能となり、信頼性向上に貢献します。

火力発電の役割の変化と課題

太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入が進む中、電力供給の安定化を図るため、火力発電は天候や時間帯に応じて出力を大きく変動させる「調整役」としての役割を担うようになっています。これに伴い、火力発電プラントでは数時間から数日の間隔で起動・停止を頻繁に繰り返す運転が増加しています。このような運転形態の変化により、ボイラーなどのプラント材料には従来のクリープ損傷に加え、クリープ疲労損傷が生じる懸念が高まっており、変動負荷を考慮した材料の損傷評価が極めて重要な課題となっています。

既存技術の課題

従来のクリープ試験機では、オペレーターが手動で荷重を変更する必要があり、短周期での頻繁な荷重変更や夜間・休日の対応が困難でした。また、油圧サーボ式による自動荷重変更の手法も存在しましたが、荷重の安定性や停電時の荷重制御に課題があり、信頼性の面で十分とは言えませんでした。

負荷変動クリープ試験の詳細

既存のクリープ試験機を改造し、自動制御盤を導入することで、最大15パターンの複雑な負荷を無人で連続制御することが可能となりました。これにより、オペレーターの介在による人為的な測定誤差を排除し、試験精度が大幅に向上します。さらに、手動操作に伴う予期せぬ事故リスクも解消され、高い試験精度と安全性の両立を実現しました。

負荷変動クリープ試験

【主な仕様】
試験機容量:最大21kN(クリープ試験機 1:10てこ式)
試験温度:25~1,000℃(一定温度)
変動荷重、周期:15パターンまで ※新対応
対応試験片:φ4~6丸棒試験片
【試験例】
火力発電で想定される負荷変動を模擬したクリープ試験
(下記条件で実施)
供試体:オーステナイト系ステンレス鋼
試験温度:650℃
試験応力:160MPa⇔16MPa
負荷変動時間:6hr⇔2hr

オーステナイト系ステンレス鋼の負荷変動クリープ試験
クリープひずみと荷重と時間の関係

オーステナイト系ステンレス鋼
負荷変動クリープ試験とクリープ試験の比較

まとめ

任意の応力条件:一定荷重でおこなう通常のクリープ試験とは異なり、任意の時間・周期で荷重の変更ができます。
複雑な負荷パターン:試験荷重と荷重変動周期とを最大で15パターンまでプログラムできます。より実機に近い負荷変動条件にも対応します。

本技術の用途イメージ

  • 稼働中の火力発電プラントにおける設計上想定されていない負荷変動のある運転パターンの影響検証
  • 火力発電プラントの開発における負荷変動を考慮した疲労強度と安全率の把握

参考文献

  1. *1)コベルコ科研:こべるにくす APR. 2025 No.60

執筆者

技術本部 機械・構造センター 構造技術部 構造評価技術室 | 出射 彬(いでい あきら)

よくある質問

負荷変動クリープ試験とはどのような試験ですか?
通常の一定荷重下でのクリープ試験と異なり、実プラントの運転実態を模擬し、時間とともに荷重(応力)を変動させながら材料の変形や破断挙動を評価する試験です。特に再生可能エネルギー導入後の火力発電プラントで増加している負荷変動(起動・停止の繰り返し)に対応した損傷評価に有効です。
本試験で再現できる運転条件にはどのようなものがありますか?
数時間単位の起動・停止を含む短周期の荷重変動や、日単位の運転スケジュールなど、火力発電プラントで見られる多様な運転パターンを再現可能です。応力条件、変動周期、保持時間などはご要望に応じて柔軟に設定できます。(ただし、温度は一定となります。)
試験結果からどのような情報が得られますか?
破断時間、伸び、破断絞り、破断位置、ひずみ-時間線図、応力(荷重)-時間線図、温度-時間線図、最小クリープ速度等となります。

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