コベルコ科研・技術ノート

こべるにくす

Vol.33

No.60

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  4. 応力負荷変動クリープ試験装置の導入

新技術・新製品のご紹介

新技術

応力負荷変動クリープ試験装置の導入

❶ 概要

カーボンニュートラル実現に向けた取り組みとして再生可能エネルギーの導入が進む一方、安定した電力供給の確保には、負荷変動に対応できる火力発電が依然として重要な役割を担っています。負荷変動運転では発電プラントの起動と停止を繰り返すことから、使用される部材には高温・変動応力下における信頼性が求められています。そのため、負荷変動運転下で使用される部材には、クリープ損傷に加えてクリープ疲労損傷が生じることが強く懸念され、プラント材料の損傷評価は以前に増して重要な課題となっています。

このような評価ニーズに対応すべく、任意の条件の下、自動的に荷重を変動させることができる負荷変動クリープ試験装置を導入しました。発電プラント実機で想定される複雑な運転パターンでの試験にも対応可能です。クリープ強度特性評価の高度化を通じて、火力発電用途をはじめ高い信頼性が求められる材料開発の加速に寄与してまいります。

❷ 特徴

  1. 1)任意の応力条件:一定荷重でおこなう通常のクリープ試験とは異なり、任意の時間・周期で荷重の変更ができます。
  2. 2)複雑な負荷パターン:試験荷重と荷重変動周期とを最大で15パターンまでプログラムできます。より実機に近い負荷変動条件にも対応します。

❸ 主な仕様

試験機容量 :最大21kN(クリープ試験機 1:10てこ式)
試験温度 :25~1,000℃(一定温度)
変動速 :150μm/min
変動荷重、周期 :15パターンまで
対応試験片 :φ4~6丸棒試験片

❸ 試験例

火力発電で想定される負荷変動を模擬したクリープ試験
(下記条件で実施)
供試体 :オーステナイト系ステンレス鋼
試験温度 :650℃
試験応力 :160MPa⇔16MPa
負荷変動時間 :6hr⇔2hr

写真1 装置外観

第1図 オーステナイト系ステンレス鋼の負荷変動クリープ試験
クリープひずみと荷重と時間の関係

第2図 オーステナイト系ステンレス鋼
負荷変動クリープ試験とクリープ試験の比較

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