コベルコ科研・技術ノート
こべるにくす
Vol.33
No.60
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- 水素社会を支える極低温(10K以下)シャルピー衝撃試験
新技術・新製品のご紹介
新技術
水素社会を支える
極低温(10K以下)シャルピー衝撃試験
❶ 概要
カーボンニュートラルの実現に向けての取り組みが進む中で、液体水素の輸送・貯蔵など極低温環境における材料の信頼性と安全性を確保するために靭性評価が重要となります。しかし、靭性の評価に広く利用されるシャルピー衝撃試験機は、液体窒素温度(77K)の低温試験が限界でした。
今回、試験片を極低温(10K以下)に冷却した状態で衝撃試験ができるように、付帯設備を製作したので紹介します。
❷ 手順
- ①試験片に保冷カプセルを巻き、ノッチの位置をマークする。
- ②ノッチ位置に試験機のハンマーエッジが当たるように試験片をセットする。
- ③ヘリウムボンベにより液体ヘリウムタンク内を加圧し、液体ヘリウムを保冷カプセル内に流す。
- ④目標温度を所定の時間保持し、試験を行う。
第1図 極低温シャルピー衝撃試験

写真1 装置外観

❸ 主な仕様
- ・試験片形状 □10×55 mm (通常のシャルピー試験片と同じ)
- ・シャルピー衝撃試験機(容量:300J)
- ・50ℓ液体ヘリウムタンク
- ・冷媒 液体ヘリウム
- ・真空断熱トランスファーチューブ
- ・ヘリウムガスボンベ(圧力制御用)
第2図 オーステナイト系ステンレスの試験データ例
