コベルコ科研・技術ノート

こべるにくす

Vol.33

No.61

技術再発見

今も活躍している当社のロングラン技術や製品をご紹介

大型破壊靭性試験

40年以上前より、厚板材料の研究開発試験として大型破壊靭性試験をおこなってきた歴史がある。

近年急激なコンテナ船の超大型化傾向(19,000TEU級以上)にともないコンテナ船鋼材の板厚・強度の増加(80t→100t , EH40→EH47)が必要とされると同時にき裂停止破壊靭性値Kcaの低下が課題となるため鉄鋼材料の開発が盛んになっている。ほかにも極低温環境では、LNG・液化水素の輸送・貯蔵タンクにもちいられる各種Ni鋼の安全性評価が求められる。大型破壊靭性試験は、第1図に示す当社最大荷重容量である30MN引張試験機をもちいる。

当社の大型破壊靭性試験メニューを第1表に示す。試験温度範囲は、+100℃~-196℃である。

第1図 30MN引張試験機

第1表 当社の大型破壊靭性試験メニュー

ESSO試験とは

代表的な大型破壊靭性試験であるESSO試験は、コンテナ船・LNG・液化水素タンク等に使用される低温材料やそれらの溶接部を対象とした脆性き裂伝播停止特性を確認するための試験である。

試験手順は、第2図に示すようにタブ板溶接された、500(W)×500(L)×元厚(t)[mm]サイズの試験体を第3図に示すような低温温度勾配に保持する。冷却は、液体窒素を試験体に取り付けた各種冷却チャンバーに投入しておこなう。試験体の表面温度を計測し、試験体温度を正しく評価するには、板厚方向の温度を均一化するために温度保持を行なう必要がある。冷却保持時間は、100tの場合 20min(10min+板厚100mm×0.1min/mm)の温度保持を行う。その後引張荷重を負荷し、試験荷重に到達後にクサビを置いたVノッチ部に重錘を落下衝突させる。落錘エネルギーにより、Vノッチ部を押し広げることで、き裂を発生・伝播させる。なお、き裂は与えた温度勾配の影響により貫通せずに停止する。試験後は、強制破断させて、き裂停止長さを確認する。き裂停止長さと試験荷重より、き裂停止破壊靭性値Kcaを算出する。

第2図 ESSO試験の装置概要1)

第3図 温度条件の例

計測システム最新化とDX化

第4図に示すように、従来は大型破壊靭性試験のデータ計測は温度計測と荷重計測を別々にしていたが、データロガーの発展により多点同期計測でき、温度勾配をリアルタイム演算できるようになった。これにより複雑な温度勾配を実現できるようになり、温度制御範囲も向上した。各国船級などの認定機関・エンドユーザーの立会がしばしば要求される大型破壊靭性試験だが、WEB会議システムをもちいることで遠隔地からでも試験の条件から結果までを計測画面とカメラ映像で同時に確認できるWEB立会試験が可能である。

第4図 計測システムの変遷

当社では、市場ニーズに応じて新たな試験温度条件の開発にも取り組み、多種多様な材料を扱っている。今後も超大荷重が必要な大型破壊靭性試験を継続する所存である。

参考文献

  1. *1) WES 2815-2014 ぜい性亀裂アレストじん性試験方法 P5 図3、P36 解説図1

お問い合わせ

上記に関するお困りごとやご相談が
ございましたら、
お問い合わせフォームよりお気軽に
お問い合わせ下さい。

お問い合わせフォーム