コベルコ科研・技術ノート
こべるにくす
Vol.34
No.62
- TOP
- 技術ノート「こべるにくす」一覧
- アーカイブス
- がん原性物質に追加指定された結晶質シリカの分析(X線回折法)
新技術・新製品のご紹介
新技術
がん原性物質に追加指定された結晶質シリカの分析(X線回折法)
❶ 概要
厚生労働省が公布した「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令」により、労働安全衛生法にもとづく化学物質管理に関する新たな義務が導入されました。今回の改正では、管理対象化学物質のうち「がん原性物質」に"結晶質シリカ"が追加され、令和5年4月1日から適用されています。この改正により、結晶質シリカを質量比で0.1%以上含有する製品・材料は、その形態や存在状態にかかわらず、規制管理の対象となります。
このような背景のなか、当社では、製品や材料中の結晶質シリカ濃度を把握するための分析サービスの提供をおこなっております。
❷ 技術の特徴
労働安全衛生法では、結晶質のシリカが規制対象ですが、非晶質(アモルファス)のシリカについては対象から外れているため、結晶構造が異なるシリカを区別して結晶質シリカのみを選択的に分析する必要があります。X線回折法(XRD)は、結晶質の物質にX 線を照射した際、特定の角度で生じる回折 X 線を解析することで、物質を同定することができる方法であり、結晶多形を区別した定量も可能であるため、結晶質シリカの分析に有効です。
当社では、試料マトリックスの影響などを考慮した検量線法を組み合わせることで、0.1wt%の結晶質シリカに対して精度の高い分析が可能です。また、結晶質シリカの含有量が多い試料についても、XRD測定によって得られた回折パターンに対して、結晶構造モデルによる理論計算パターンからフィッティング解析するRietveld解析法を適用することで分析が可能です。
❸ 事例紹介
結晶質シリカを含まないアルミナ粉末試料に、結晶性シリカ(Quartz、Cristobalite)粉末の既知量を段階的に添加したモデル試料について測定したときのX線回折チャートを、図1に示します。異なる結晶構造をもつ2種類の結晶質シリカが明確に区別して検出されるとともに、添加量の違いによって回折線強度が相関性をもって変化する様子が明確に検出されています。
❹ 仕様
| 使用設備 | :Rigaku製 SmartLab(図2参照) |
|---|---|
| 必要試料量 | :数g以上(粉末試料の場合) |
図1模擬試料のX線回折パターン

図2X線回折装置の外観

