半導体素子(デバイス)とは?

エレクトロニクス
  • 近頃マスコミやWebニュースで不足が叫ばれ、注目を集めている「半導体」。身近な家電製品やPCの部品だけでなく、医療システムや電車の運行、インターネットといった社会インフラにも使用されており、実は私たちが豊かな生活を送るためには欠かせない存在です。
    半導体とはいったいどのようなものなのでしょうか。今一度学んでいきましょう。

  • 半導体とは?

    半導体とは、電気をよく通す金属などの「導体(良導体)」と、電気を通さない紙やガラスなどの「不導体(絶縁体)」に対して、ある時は電気を通し、また別の時は電気を通さないという中間の性質を持った物質のことです。
    半導体には構造と特性の違いで「p型半導体」と「n型半導体」の2種類に分けられます。導体より電気を通さず、不導体より電気を通すという特徴は両者とも同じですが、p型半導体はプラスの電気性質を持つ一方で、n型半導体はマイナスの電気性質を持つ半導体であり、まったく異なる仕組みで成り立っています。

    半導体イメージ画像
  • 半導体の主な役割

    半導体には主に3つの重要な役割があります。

    ①電気エネルギーを光に変換

    まず一つ目の役割として電気エネルギーを光へと変換する作用を持っています。この性質を利用したものが発光ダイオード(LED)や有機ELです。また、これらの製品は従来の白熱電球や蛍光灯に比べて長寿命、低消費電力のため現在では多くの照明器具やディスプレイで利用されています。

    ②光エネルギーを電気に変換

    一つ目の性質とは逆に、半導体は光エネルギーを電気へと変換する性質も持っています。身の回りにある例として太陽光電池が挙げられます。

    ③電気の流れを制御

    冒頭で説明した通り、半導体は導体と不導体の中間の性質を持つ物質です。条件によって電気を通したり通さなかったりすることができるため、電気回路のスイッチの役割をさせることができます。
    さらに、電気的特性の異なる半導体、導体、絶縁体の膜を積み重ねることで、例えば1cm角に1億個以上の部品を詰め込むといった複雑な電気回路を高密度に作ることが可能です。
    このように作られたものを「半導体素子(デバイス)」といいます。

    半導体素子は、今日の社会の根幹を支える重要な部品です。
    半導体素子は、スマートフォン、パソコンから、家電製品、産業用機械、社会インフラ、鉄道、飛行機、自動車まで、あらゆる機器に内蔵され、その需要は増え続けています。

  • 半導体素子(デバイス)の種類

    半導体素子には、その用途や機能によって、さまざまな種類があります。以下はその代表的なものです。

    MPUのイメージ画像
    種類 :
    MPU(マイクロプロセッサ)
    用途 :
    パソコンやスマートフォンで演算を行う。CPUとも呼ばれる
    GPUのイメージ画像
    種類 :
    GPU(グラフィックプロセッサ)
    用途 :
    画像処理専用の半導体素子。近年AIにも使われる
    メモリのイメージ画像
    種類 :
    メモリ
    用途 :
    情報を記憶。
    MPUの演算の一時記憶に使われるDRAMや、文書・画像・音声を長期間保管できるNAND型フラッシュメモリなど
    FPGAのイメージ画像
    種類 :
    FPGA
    用途 :
    現場で論理回路の構成をプログラムできる集積デバイス
    通信モデムICのイメージ画像
    種類 :
    通信モデムIC(インテグレーテッド・サーキット:集積回路)
    用途 :
    アナログ信号とデジタル信号を変換して通信するIC
    電源ICのイメージ画像
    種類 :
    電源IC
    用途 :
    安定した電圧を作り出す
    アナログICのイメージ画像
    種類 :
    アナログIC
    用途 :
    アナログ信号を増幅したり、処理を行うIC。
    アナログ信号とデジタル信号を変換したり、モーター制御などにも用いられる
    ディスクリート半導体のイメージ画像
    種類 :
    ディスクリート半導体
    用途 :
    1つの機能部品だけでできている半導体製品。
    トランジスタ、ダイオード、イメージセンサ、パワートランジスタなど
  • 近年注目の半導体

    近年は、SDGsに関連して、自動車のEV化や家電の省エネに活用される「パワーデバイス」が注目を集めています。パワーデバイスは、電源を制御する半導体素子ですが、エンジンやモータの近くなどの高温に晒されたり、高い電圧の電流を扱ったりできることが特徴です。
    パワーデバイスは日々技術革新が進んでおり、最近ではSiC(シリコン・カーバイト:炭化ケイ素)やGaN(ガリウム・ナイトライド:窒化ガリウム)、Ga2O3(酸化ガリウム)などの新素材が採用され、従来製品より耐熱性、耐電圧性に勝るパワーデバイスが開発されつつあります。
    また、無線通信の拡大と高速化(5G)により、高周波を扱う半導体素子の需要も急増しており、これらの高性能化にもパワーデバイスと同じSiC、GaN、Ga2O3などの新材料が応用されています。

    近年注目の半導体 イメージ画像
  • 半導体業界の今後とコベルコ科研の取り組み

    半導体は技術の進化により、さまざまな産業で利用されるようになり、一気に需要が増大しました。その影響で、現在世界的に供給が追いついておらず、さまざまな業界でその影響を受けています。
    その一方で半導体業界の革新は日進月歩であり、新たな半導体の技術が生み出されています。
    コベルコ科研では、このような新素材の電気的特性や結晶欠陥、不純物、物理的特性、熱特性などの分析や、熱サイクル試験、高電圧負荷試験などにより、パワーデバイスや高周波ICの開発を強力にバックアップします。

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