最新Cs-STEM「Spectra Ultra」による
低ダメージ評価サービスの開始
Structural Analysis Services with Spectra Ultra
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Cs-STEM(Cs-corrected Scanning Transmission Electron Microscope)は、球面収差補正機能を有した高分解能STEMであり、その球面収差補正機能により電子プローブを0.1nm以下に絞ることで、原子レベルでの観察・分析が可能で、ナノレベルの構造解析には欠かせない装置です。現在、各種材料から二次電池、半導体まで幅広い分野で活躍しています。
最新鋭の走査型透過電子顕微鏡「Spectra Ultra」は高感度EDXと材料・評価手法に応じた最適加速電圧での観察・分析を駆使することで、ソフトマテリアルなど従来のTEMでは評価の難しい材料についても、高分解能・高精度での評価が可能です。
(本設備を保有している国内の受託分析会社はコベルコ科研のみ *2025年7月時点) -
製品仕様
Spectra Ultra
Thermo Fisher Scientific 製
球面収差補正機能付き走査透過電子顕微鏡(Cs-STEM)
Spectra Ultra-
[装置仕様]
■加速電圧(kV) 60、120、200、300
■STEM分解能 0.05nm(@300kV)、0.09nm(@60kV)
■EDX(立体角) Ultra-X (4.45Sr)
■EELS Continuum S
■オプション 大気非開放・クライオ対応 -
[主な特長]
■圧倒的な高分解能
■高感度EDX(従来機※の約10倍)※:当社保有のCs-STEM付属のEDX
■材料・評価手法に応じた最適加速電圧での観察
■低ダメージでのEDXトモグラフィー
■広範囲での自動観察・解析
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特長
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高感度EDX検出器
による低ダメージ評価高感度EDX検出器により、短時間で分析することが可能です。それにより、電子線による変質の影響や分析時の試料ドリフトの影響を最小限に抑えることができます。
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材料・評価手法に応じた
加速電圧の選択加速電圧切替後のレンズと試料ステージの安定性が高く、切替後5分で観察・分析が可能です。 そのため、電子線に弱いデリケートな試料や、像観察、EDX分析、EELS分析など、その場で材料・評価手法に最適な加速電圧に切り替えて評価することができます。立会観察中にお待たせすることはありません。
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STEM・EDXトモグラフィー
による3次元構造解析高感度EDX検出器による高速マッピングにより、ナノサイズの3次元構造物について、電子線ダメージによる変質を最小限に抑え、可視化・定量化します。
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事例
事例①「SrTiO3の原子分解能EDXマッピング」
~高感度EDX検出器 ⇒ 酸素の原子配列を可視化!~
当社保有の従来装置と比べ、EDX検出器の感度が高く、より短時間でEDXマッピング像を取得できます。
下図に、SrTiO3の原子分解能 EDXマッピング像を示します。分析時間3分においても、Ti、Sr元素に加え、軽元素であるO元素の分布についても、原子レベルで明瞭に捉えることができます。
短時間で分析可能であるため、電子線により変質しやすい材料への適応が期待できます。SrTiO3の原子分解能EDXマッピング像
事例②「全固体電池の固体電解質層の評価」
~高感度EDX検出器 ⇒ 低ダメージでのEDXマッピング!~
全固体電池の劣化メカニズムの解明には、活物質/固体電解質(SE)界面の状態、固体電解質の構造変化を把握する必要があり、それらを変質なく観察・分析することが重要になります。
電子線で変質しやすい固体電解質層を低加速・低電流で分析することで、変質を抑えて試料由来の元素分布を可視化することができます。正極活物質/固体電解質界面のEDXマッピング像
事例③「最適加速電圧でのA6061アルミニウム合金中の微細析出物観察」
~究極の安定性 ⇒ 材料・評価手法に応じた加速電圧の切り替えが可能!~
Spectra Ultraは加速電圧の切り替え後、短時間でレンズや試料ステージが安定します。そのため、立会観察中でも、新規材料など未知のものや電子線に弱いデリケートな試料に対して、また、像観察、EDX分析、EELS分析など、その場で材料・評価手法に最適な加速電圧に切り替えて評価することができます。
下図にA6061アルミニウム合金中の微細析出物の原子分解能EDXマッピング結果を示します。
加速電圧200kVでは、分析時間の経過とともに試料損傷が進みCu原子が明瞭に確認できなくなっています。(赤矢印部)
加速電圧60kVでは、十分な分解能を維持しつつ、試料損傷を抑え、試料本来の元素分布を示していることがわかります。A6061アルミニウム合金中の微細析出物のHAADF像と原子分解能EDXマッピング像
事例④「燃料電池Pt/C触媒のEDXトモグラフィーによる3次元構造解析」
~高感度EDXによるダメージ低減 ⇒ アイオノマーを直接可視化!~
高感度EDX検出器と高傾斜ホルダーにより、電子線の影響で変質しやすい材料においてもEDXトモグラフィーによる3次元構造解析が可能です。
下図は、燃料電池のPt/C触媒のバインダーであるアイオノマーに着目し、測定した結果です。
トモグラフィ―の測定前後でC担体部のシュリンクは認められず、電子線の影響で抜けやすいF元素の減少も僅かとなっています。
F元素の分布を可視化することで、アイオノマーの分布、被覆率など3次元的に捉えることが可能です。Pt/C触媒のEDXトモグラフィーによる3次元構造解析
事例⑤「Fin-FETのEDXトモグラフィーによる3次元構造解析」
~高分解能・高感度EDX ⇒ 微細な構造物を可視化!~
高感度EDX検出器と高傾斜ホルダーにより、ナノオーダーの微細な構造物のEDXトモグラフィーによる3次元構造解析が可能です。
下図は、Fin-FET(Fin Field-Effect Transistor)のEDXトモグラフィーによるHigh-K(HfO2)膜の成膜状態を評価した事例となります。
HAADF像では評価できなかった奥行方向のHigh-K(HfO2)膜の成膜状態も3次元構築後のスライス像より評価可能です。Fin-FETの模式図
Fin-FETのEDXトモグラフィーによる3次元構造解析
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よくある質問
- TEMではどのようなことが分かりますか?
- 当社ではこれまで幅広い分野での経験がございますので、まずは、お気軽にお問合せいただければと思います。どのような結果が得られるか、だけでなく、これまでの経験による知見も含め、問題・課題解決のための分析を提案させていただきます。
- コベルコ科研に依頼するメリットは何ですか?
- 今回導入の最新Cs-STEMは、商用機として世界最高の分解能を誇るだけでなく、電子線による試料のダメージを極限まで軽減させられる装置であり、観察前の試料調製も含め、当社の長年の経験を生かした最善のデータのアウトプットをお約束します。
- 分析を依頼する試料が電子線でどの程度ダメージが生じるか分からないのですが?
- 当社でも経験がない試料については、事前検討やトライアル観察など、成功に向けて一緒に取り組ませていただきます。
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