コベルコ科研・技術ノート

こべるにくす

Vol.32

No.59

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  4. 最新鋭Cs-STEMによる原子レベルでの微細構造解析の紹介

新技術・新製品のご紹介

新技術

最新鋭Cs-STEM※1による
原子レベルでの微細構造解析の紹介

❶ 概要

Cs-STEMは、球面収差補正機能により電子プローブを0.1nm以下に絞ることで、原子レベルまでの観察・分析が可能な装置です。

ナノレベルの構造解析には欠かせない装置であり、現在、各種材料から二次電池、半導体まで幅広い分野で活躍しています。

コベルコ科研では、最新鋭のCs-STEMを増設予定で、その特長と観察・分析事例についてご紹介します。(25年1月上市予定)

■装置外観

❷ 特長

■電子ビーム照射による損傷を抑えた観察・分析を実現
多分割STEM検出器と高感度EDXにより低ドーズ条件においても明瞭な原子構造の可視化、元素の識別が可能です。

■材料や目的に応じたより最適な条件での観察・分析が可能
加速電圧の変更後も電子ビームの安定性が高く、短時間で加速電圧を変更した観察・分析が可能です。それにより、材料や分析内容に応じた最適な条件で取得したデータを提供することができます。

■拡がる観察・分析メニュー
・高感度EDXによるEDXトモグラフィー
・多分割STEM検出器による電場・磁場観察
・自動プログラミングソフトによる広域の自動観察・解析

■主な仕様

❸ 観察・分析事例

■NCA※2正極活物質の低加速電圧での原子分解能EDXマッピング
二次電池の開発において、長寿命化のために劣化機構の解明は重要であり、活物質の原子レベルでの構造解析が不可欠となっています。

下図に、正極活物質の原子分解能EDXマッピング像を示します。低加速電圧で分析することで変質(カチオンミキシング)を抑え、試料本来の元素分布を確認できます。特に注目すべき点は、NiやCoの遷移金属の周囲に配位している酸素が明瞭に分離して可視化できている点です。

従来の装置では、低加速電圧時の空間分解能やEDXの検出効率から軽元素の原子分解能マッピングは困難でした。しかし、本装置の特徴である高分解能と高検出効率により、その分析が可能になりました。

この事例以外にも、さまざまな材料に対して、ダメージレスに原子レベルでの高分解能観察・高感度分析が可能です。

※1 Cs-STEM:球面収差補正走査透過型電子顕微鏡(Cs-corrected Scanning Transmission Electron Microscope)
※2 NCA:LiNi0.8Co0.05Al0.15O2

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