アンモニア利用に関する
課題等の概説

アンモニア利用に関する課題等の概説
  • 燃焼の課題(火力発電所)
    カーボンニュートラルの観点から NH₃混焼・専焼の開発が推進されています。
    燃焼環境の変更による、従来からの評価およびNH₃燃焼に対する新たな課題の抽出や評価を提供します。
    火力発電所では、燃焼由来のNOx除去技術として脱硝設備用でNH₃が使用されてきました。
    燃料として用いる場合、現在の100倍~200倍の保管が必要(2万~20万t)で、大型NH₃タンクの陸上貯蔵の各種安全性評価や海上輸送の運搬が必要です。
    アンモニアは、可燃性のある毒ガスで、低い濃度でも刺激臭があるため、安全対策が必要になります。
    ※既存のLNGタンクがそのままNH₃に転用できると、設備コストは低くなると考えますが、併用に関しては、実験データの積み重ねが必要と考えます。

    ◆主な課題事項

    ①アンモニアを安全に利用するには(タンクや配管)
    ②燃焼で発生するNOxの低減と、NOx発生による従来構造の変更の可否
    ③各種装置の設計の変更の必要性、安全性、運転環境の見直し
    ④資源リサイクルで活用してきた材料はそのまま利用できるのか
    ⑤アンモニアの気化器、圧縮器、過給機、計装部品関連

    「火力発電所」イメージ画像

    LNH₃燃料に一部変わることで、燃焼環境が変わるため、各種反応や生成物が異なります。
    本格的にLNH₃燃料の運用が始まった場合、再評価が必要と考えています(資源の再利用、健全性評価)。

    燃焼雰囲気が変わることで、材料の腐食速度、クリンカの付着、フライアッシュ性能の変化が想定され評価が必要と考えます。
    石炭やLNGを燃料とした火力発電所での各種課題への評価・改善対策の効果のメーカニズム、寿命評価、開発支援を実施してきました。LNG、LPGボイラーやガスタービン(発電機、タグボート)、小型発電機等のアンモニア燃料としている方への課題解決を支援します。


    NH₃燃焼では、N₂Oを出さないことが重要です(N₂Oの温暖化係数は二酸化炭素の298倍、大気中寿命150年)。
    燃焼時の燃料供給方法(バーナー構造)、酸素バランス変更による発生量の低減が実施され、環境が変わることによる構造材料の耐食性(酸化や窒化)や耐久性、排ガスからのNOx低減技術の検証が必要です。

    地球温暖化係数:  CO₂ < CH₄(25倍) < N₂O (298倍)
    大気中寿命(年): CO₂(50~200年)、CH₄(14.5年)、N₂O(150年)

    「アンモニア」イメージ画像
  • 燃焼の課題(内燃機関)

    船舶業界は、2030年に、2008年比で平均燃費△40%を目指し、2050年に炭素排出効率を70%改善を目指しいていて、内燃機関用での水素・アンモニア利用が急務となっています。

    「内燃機関」イメージ画像
    NH₃燃焼では、N₂O出さないことが重要のほか、大型の内燃機関では、燃焼室が大きいため、未燃のNH₃が発生する懸念がある。未燃のNH₃の発生環境は、酸素がない還元環境であり、炭窒化処理プロセスに類似した環境で、配管等の材料の炭化や窒化の発生が推定されます。
    また、N₂Oの発生を抑制するには、過給機等による酸素リッチの燃焼環境(酸化の懸念)。NH₃燃焼の熱分解における水素の発生が課題と考えます。
    また、NH₃燃焼で発生する水分、未燃NH₃や停止時のNH₃が駆動部の焼き付きやシール性に影響を与える可能性があり、燃料と潤滑油の評価をNH₃燃焼でも実施する必要があると考えます。
    図
    図中の課題は 内燃機関(船舶や自動車等)のストロークエンジン、小型発電機等のアンモニア燃料として利用する方を対象に記載しています。
    弊社で集めた公開文献等の情報から、組み立てたてて提案しています。
    これ以外の課題についても、運用方法、目的等をお伺いした上で、対応致します。ご相談下さい。
    図
  • 貯蔵面・運搬の課題
    貯蔵面のイメージ画像

    現行のアンモニアに関わる法規制・ガイドラインが当面の基準になるが、大量のアンモニア導入に向けた法整備が検討されています。
    国内のタンクは、三重(二重殻構造+防液堤)、アメリカは、二重(二重殻構造あるいは一重+防液堤)、EUは、EUの法規制と各国によって規制が異なります。
    アメリカの運輸省は、アメリカ国内に流通するアンモニアの仕様として所定濃度で水添加を連邦法として規定しています(LNH₃の0.2~0.5%の水分含有)。
    国際海事機関(IMO:International Maritime Organization)では、貨物運送小委員会(CCC:Sub-Committee on Carriage of Cargoes and Containers)と、船舶設計・建造小委員会(SDC:Sub-Committee on Ship Design and Construction)でLNH₃の運搬に関して提案、検討、規格化が検討されています。
    殻容器に関する耐割れ性に関して、アメリカ運輸省、IMOのLNH₃に関する文献の参照例を示す。
    鋼材の種類が異なるが、アメリカ運輸省では、水の添加を義務付けており、IMOでは割れ防止に2.5ppm未満の酸素の添加を推奨しています。文献によって、割れる、割れないの報告が異なって、一貫性がないのが現状です。
    また、タンク内のLNH₃の移し替えや解放点検も考慮中です。構造部材は、割れの発生の有無、き裂進展速度のデータ取得、また、各種部材の安全性の検証が実施等が今後必要と考えます。
    大型の陸上貯蔵タンク、運搬タンク、省エネ対応で材質の変更、よりCO₂ の排出量少ない再生エネルギー由来のアンモニアの候補であり、既存候補材料の評価、材料開発の支援、安全対策、寿命評価のサポートをいたします。

    安全性評価の表

    出展①:U.S Department of Transportation(アメリカ運輸省)
    Testing and Recommended Practices to Improve Nurse Tank Safety, PhasesⅠ,Ⅱ,Ⅲ
    出展②:IMO(国際海事機関/液化ガスを大量に運ぶ船舶の建造及び設備に関する国際法の改定 2014年5月)
    Amendments to the international code for the construction and Equipment of Ship Carrying liquefied gases in bulk.

  • コベルコ科研 試験研究技術
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