高圧水素環境下での高分子材料の力学特性に関して

HYDROGEN
  • 高圧水素環境下での高分子材料の使用状況

    カーボンニュートラルにおける水素ガスの利用が推進されています。ただ、水素ガスのエネルギー体積密度は、室温、大気圧中で11MJ/m3とガソリン等と比較して非常に小さくなっています。そのため、有効に輸送、貯槽するために高圧化が1つの手段として採用されています。

    H2

    経産省資料より抜粋

    上に示しているように、水素ステーションでは水素ガスを圧縮機によって高圧状態に昇圧して一旦蓄圧した後に、FCV等に供給します。FCV等の車両の水素タンクには高圧水素が貯蔵されています。このように、水素を扱う施設や設備では、各機器の接続面や接触面等からの水素漏洩を防止するために、各所にシール部材が用いられており、特にステーションの様な高圧水素を取り扱う施設においては厳重に管理されています。

  • 高圧水素環境下での有機材料の挙動

    高圧水素環境下での有機材料の挙動に関しては、九州大学の西村らの研究グループで非常に多くの研究がされています。そこで得られた多くの成果は、すでに機器・設備の設計に活用されています。ただ、高圧水素環境下での材料の機械特性の変化に関しては、まだ十分な検討がされているとは言えない状況です。
    現在、報告されている機械特性に関しては、例えばProceedings of the ASME 2016 Pressure Vessels and Piping Conference PVP2016にて米国Sandia National Lab.の研究者らが発表しています。ここでは、水素暴露前に実施した引張り試験結果と、約100MPaの高圧水素に長時間暴露した直後の大気中での引張り試験結果を比較しています。ただ、これらは高圧水素環境下での引張試験結果ではないため、高圧水素環境下での引張り試験が望まれています。

    • 高圧水素環境下での有機材料の挙動 図1
    • 高圧水素環境下での有機材料の挙動 図2

    BEHAVIOUR OF POLYMERS IN HIGH PRESSURE ENVIRONMENTS AS APPLICABLE TO THE HYDROGEN INFRASTRUCTURE, Proceedings of the ASME 2016 Pressure Vessels and Piping Conference PVP2016,July 17-21,2016,Vancouver,British Columbia,Canada

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