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- EBSD法によるアルミニウム合金の変形組織観察のデータ・モデル事例
EBSD法によるアルミニウム合金の変形組織観察
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- 目的
- ■アルミニウム合金成形性向上の目的■
アルミニウムは比重が鉄の約1/3と軽いため、自動車の軽量化を目的に部材のアルミ化が進展しています。自動車に使用されるアルミ材の多くは鋳造品(ダイカスト含む)が主流で、板材や押出材など成形品の使用率はまだ少ないものの、さらなる軽量化に向けて使用率の増加が期待されています。
アルミ材の成形性を向上させるためには、その金属組織を正確に把握することが不可欠です。この目的を達成するために、後方散乱電子回折(EBSD:Electron BackScatter Diffraction、EBSP:Electron BackScattering Patternとも称されます)という手法が非常に有効です。EBSD法を用いることで、変形による金属組織の微細な変化を詳細に観察することができます。アルミ合金には展伸材や鋳造材があり、非熱処理型合金と熱処理型合金があります。これらの合金は、1000系から8000系まで使用目的に応じて開発・改良されています。特に、EBSDを活用することで、これらの合金の特性をより深く理解し、最適な材料選定や加工条件の設定が可能となります。
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- 方法
- ■アルミニウム合金変形組織観察の方法■
引張ひずみを付与した3種のアルミニウム合金材から観察用の小片を切り出し、切断面を試料調整してEBSD法にて観察しました。
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- 試験装置・ソフト
- ・高分解能結晶方位解析装置(FESEM/EBSD装置)
・FESEM:日本電子製FE-SEM
・EBSDシステム: EDAX 製 OIM システム
【EBSD法で解析できる項目】
・結晶粒径および結晶粒界の解析
Grain map(結晶粒の位置と形状を示すマップ)
Grain size distribution(結晶粒のサイズ分布)
Grain boundary map(結晶粒界の位置と特性を示すマップ)
Grain shape aspect ratio(結晶粒の形状比/長さと幅の比率)
・相分布
Phase map(材料内の異なる相(結晶構造の違い)を色やシェーディングで区別して表示)
・方位分布
Misorientation angle distribution(結晶間の方位差の分布)
KAM:Kernel Average Misorientation(小領域内での平均的な方位差、微細構造の変形度を評価)、
GAM:Grain Average Misorientation(一つの結晶粒内での平均的な方位差)
GOS:Grain Orientation Spread(一つの結晶粒内の方位のばらつき度)
GROD:Grain Reference Orientation Deviation(参照方位との方位差)
IPF:Inverse Pole Figure map(逆極点図を基にした結晶方位マップ)
・配向性と集合組織
Crystal Direction(結晶の特定の方向性)
PF:Pole Figure(結晶の特定の軸に対する方向性を球面上にプロットした図)
ODF:Orientation Distribution Function(結晶の方向分布を数学的に表現した関数)
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- 結果
- ■変形組織観察の結果■
EBSD法は金属組織を結晶方位毎に色分けして表示します。主に単位ステレオ三角形の各方位に対応して色付けされ{001}方位は赤色、{111}方位は青色、{101}方位は緑色、それ以外の方位はその中間色で示します。図1から図3に各アルミニウム合金材を引張軸方向から見た場合のInverse Pole Figure mapを示します。いずれの合金材も変形前は様々な色の結晶粒が混在していますが、引張ひずみが加わるにつれ結晶粒は引張方向に伸長し、赤色系、青・紫色系の結晶粒が増加していることがわかります。このことから1000系材は5000系、6000系材よりも低ひずみで変形がより進み、成形しやすいことが分かります。このように金属組織の変化を明瞭に視覚化でき、詳細に解析することで定量化できるところもEBSD法の大きな特徴です。
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- お客様の成果
- 金属製品の内部組織、変形組織を把握することで、成形しやすい材質の選定と、その裏付けに活用できます。
また、EBSD法で金属組織を詳細に解析することで結晶粒の粗大化など異常組織の原因究明にも役立ちます。
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- 関連試験装置
- 電界放出形走査電子顕微鏡(結晶方位測定機能付)